詩鴗館に新川さんがやって来た



           詩鴗館に 新川和江さんがやって来た

                        2011.11.19 それでも地球は回っている 
                               「秋谷豊の詩を読む会」

以前、ずっと昔には、ここ秋谷豊の自宅に来たことがあるそうです
現在の建物になってからは初めての訪問です
ランプ忌の最初の集いに、快く参加して頂きました

角を曲がれば、あと30歩で詩鴗館
ゆっくりと姿を見せた新川さんを6~7名の方が出迎えに行く
皆様のそれぞれの挨拶やお話をにこやかに聞きながら、詩鴗館へと向かわれます

やがて、現代詩の詩碑がある入口に、近ずく頃になると、周囲を見渡しながら微笑んでいらしゃいます
新川さんの視線の先には何があるのでしょうか
何気ない風景の中に、何かを見つけては、頭の中に収めていく
何に着目し、何を感じるのか、興味は何処にあるのか
鋭い感性や、観察力で、文学の抽き出しに仕舞うのでしょうか

それは詩碑の前での記念撮影が終わり、玄関から1Fの資料室に入っても続きます
詩鴗館の看板や「ちぎり絵」のランプなどをはじめ、いろいろな物を仕舞っています
何気ない原風景の中でも、我々には理解できない、見て感じるものがあるのでしょうか

目と、耳と、頭が、みんな別々に働いている
そして抽き出しに仕舞いこんでも、全て、記憶の中に刻み込んで、いつでも出せる
似ているな・・そう思いました

詩集、地球、原稿、詩誌、叢書、同人誌、句集、歌集、文献、写真、ビデオ、メモなど
5部屋のほとんどはこれらの資料で埋め尽くされていました
多くの文学者から頂いた本も全て処分することなく保管されていました
これらの資料を整理・保存することを目的に詩鴗館を設立しました
中心は秋谷豊作品・詩誌「地球」、同人資料です
鴻巣の笠原小学校時代の綴り方や「ちぐさ」も含めた70年の資料です
その間には戦争や何度かの引越、転居で失われた資料・写真も多くあったと思います

整理した資料はホームページで公開したり、年に何回かの詩鴗館公開でご覧いただいています
ホームページの月間の総アクセス数も10月は5万件を越えました
多くの皆様に訪問していただき感謝しています

二人で毎日、少しづつ資料整理を行っています、なかなか先に進まないのが現状ですが
これからもやっていきます

これまでにも「ギャラリー使用として展示会」や「詩誌の合評会」「冊子の編集会議」等で
利用していただきました
今後も多くの文学関係の皆様に利用して頂きたいと思っています
在庫している詩集などで当初の地球文庫で叶わなかった、有効利用を詩鴗館で実現したいと思います

第一回の秋谷豊詩鴗賞を新川和江様に受賞して頂きました
その賞状の冒頭の行に新川様の「CINZANO」という詩の一節を書きました
秋谷豊が額に入れて唯一飾ってあった原稿でした
そのことを考慮して「詩鴗賞」の賞状の中へ書き入れました
授賞式で新川様に直接、お相手の事をお聞きしました
しばらく考え、お相手は「高橋睦郎」様であるとおっしゃられました
私はこれまでの間、ずっと、秋谷豊に違いないと信じ切っていました
新川様は「勝手な思い込みですよ」と言って嬉しそうに笑われました
賞状を読んでいる途中から、新川様は賞状に手を添えて、読み終わった時には
既に、賞状は新川様の手元にありました

石原武様をはじめとして、幾重もの時間は、多くの方々を、この「詩鴗館・・地球文庫」へ
誘いました  これからも多くの方にお越しいただきたいと思っています

                      秋谷豊資料室-詩鴗館-    代表  秋谷 千春